”H&M 毎年12tの売れ残りを償却処分” のニュース

”H&M 毎年12tの売れ残りを償却処分” のニュース

10月16日のYahooニュースで、”H&Mがデンマークで毎年12トンの売れ残り衣類を焼却処分 テレビ局が報道” が配信されました。
元ニュース :
https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20171016-00076970/

デンマーク・ノルエー・スウェーデンのテレビ報道も見れるようになっていましたが、英語ですらなく、元ニュースを理解する術が私にはなく、日本語記事に頼るしかありません。

気になったのは、その量と記事の内容です。

12t = 40f コンテナ1本 =  3万枚~5万枚
本当に売れ残りを焼却しているなら、H&M の規模からすると、余りにも少なすぎではないか?と言うことでした。
H&M の2016年の売り上げは全世界で、2兆4千億円です。
デンマーク国内のみの売れ残りにしても、売れ残りが、たったの3万~5万着では、余りにも少なすぎます。

デンマークのテレビ局が、”12t という数字と、新品のタグが付いた物を、サスティナブルを謳っている企業が焼却していることは正義に反する” と感じて、その数字の意味することを素人的に反応して報道したのでは?と、感じました。
同社は以前にも、価格戦略上、発展途上国で生産していて、バングラの縫製工場の社屋が倒壊して、従業員に多数の死傷者が出たことでも注目を浴びていたので、その辺も、今回下地に有ったのかなと。

なにか、昨今の”日本のマスコミの報道の仕方に対して指摘” されているものと近い物を感じました。
取材が、表層過ぎる感じが。。。

ここで、H&M をおさらい。
・2016年売上 : 2兆4千万円   (SPAでZARAに次いで、世界2位。 2015年対19.4%アップ)
・ゾーン : トレンド系 ロープライスレンジ
・ビジネススタイル : 中長期生産・遠隔地低コスト産地生産・売り切り型
やっぱり、12t の規模感がシックリ来ませんよね。

次に記事に有った下記文章
H&Mデンマークの広報担当は、テレビ局に対して、焼却された衣類は健康・安全面に問題があったからだと説明。テレビ局は衣類を検査したが、細菌などは発見されなかった。

なんか、これも、ピントがずれているような感じです。

アパレル製品で、通常健康・安全面で問題が有る場合は、細菌系ではなく、化学物質関係かと。
EU域内では、環境ホルモン関係の化学物質に対する関心度は非常に高く、日本ではあまり注目されていない物質に対しての試験検査があります。
ただヨーロッパで、この辺の関心・注目のされ方が、チョットヒステリック?情緒的?な流れの中でなされていった感じを、私は持っているのですが。
私も、ヨーロッパ向けで、これをヤラカし、死にました。
日本ではあまり使用されていないプリント技法のバインダーから検出されたのですが、後処理での除去は無理でした。
生産前に検査し、不使用宣言の書類もそろえていたのですが、材料中間業者で取り違えが有ったようで、結果アウトでした。

細菌であれば、商品のダメージ具合によりますが、熱湯、薬剤で修理対応できると思うのですが。
広報担当も、”化学物質” と明確にすると、もっと印象悪いと考え、あえて明確に言わなかったのかもしれませんよね。

いずれにしても、今どきのワールドブランド企業は”サスティナブル” 掲げなければならない風潮ですが、現実対応は、本当に難しいと感じます。

これがもし、ハイエンドブランドが、ブランドイメージの保持の為、売れ残った商品をアウトレッドに出さずに、焼却処分した場合、どうなるのでしょうか?
”コンビニ弁当の、賞味期限切れに対する破棄” と、”一流料亭が、新鮮な食材しか使わず、残った食材を断腸の思い?で処分する” のニュースを見たときに、我々の感じ方は、多分正反対の物になりかねませんよね。

一流料亭は、老舗のブランディング上、それが正義と考えて行いますが、コンビニ弁当では、”もったいない” ”地球にやさしくない”と非難されてしまう。。。

生産サイドとしては、”環境上・人権上・コンプライアンス上の正義”は必要で有ることは理解できますが、環境だけではなく、生産メーカにも”やさしい” オーダーが、時々欲しいのですが、、、、、

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