海外への指示・依頼時の日本語①

海外への指示・依頼時の日本語①

 

ここ2~3か月、当サイトのワードのページの編集・改定作業を通じて、色々考えさせられることが有ったので、少し書いてみたいと思います。

私自身が製造サイドで、縫製が主であったことから、言葉のカバーする業務のイメージを、海外の生産現場で技術指導や品質管理をする方々が、

“これ、なんて表現したら現地の人判ってくれれるの?”

と思う部分を、従来のファッション用語辞典やハンドブックより多くカバー出来ればと言う思いで、身の程知らずで挑んできました。

 

我が身の語学的センスの無さに打ちのめされながら、匍匐前進(ほふくぜんしん)している現状ですが、一度登録したものの、間違っていたり、不明確であったり、英語的に不自然で合ったりで、“恥かきっぱなし、舌噛んで死にたい。。” 状態で、ハジをさらし続けています。

還暦手前オヤジの英語センスの無さの我が身を呪いつつ、、、感じたことは、

“こんなに一杯日本語の表現が氾濫していて、正確に日本サイドの発信者の意図を、海外の人が誤解無く理解しているの??”

ということでした。

 

日本からの加工指示書に記載されている日本語は、各アパレルの考え方、クセ、歴史等々、加工指示書作成者のそれまでの経歴、経験などに影響されて、使用されている単語、表現が本当にバラバラです。

中国が供給の殆どを占めていた以前は、現地のメーカー、貿易公司に、縫製そのものをよく理解して、且つ日本語の仕様書に慣れた人材が豊富にいたのですが、その中国も繊維業界が急激にシュリンクしていき、コストがらみのアセアンへのシフトをふくめ、その翻訳業務がなかなかハイコスト化したり、ネックになってきたりしていると思います。

 

OEM支援事業や、SPA・直貿化を進めて行く上で、コミュニケーションコストを下げる方法は無いのでしょうか?

ミスコミュニケーションは、コストに跳ね返ってきます。

試作サンプルの再製作も、工場側の手間だけでなく、バイヤーサイドの時間と手間を喰い、コストアップに成ります。

修正意見の意思疎通が通らない場合、本生産での事故にもつながります。

これ、どうにかしないと、コモデティタイプの海外生産よりも、中ロット以下の商品や、パーソナル化した商品の海外生産に対して、コスト面、時間面で大きな障害なりかねません。

 

今回の、“WORD“ 編集の作業を通じて感じたことは、上記にも書いたのですが、日本語の単語、使用表現があまりにも多すぎる事です。

 

日本語の繊維業界の標準化

実際、JIS=ISO等で有るのですが、これがあんまり使い勝手が良いとは言いづらい感じがします。

日本市場の繊維製品の海外供給率を見れば、単なる内向きの工業的な標準化ではなく、海外との意思疎通に適した、又は留意した標準化が、業界全体として必要であることは事実です。

織・編みの加工指示においては、組織図や、標準的な表現方法が有る程度整っている感が有りますが、縫製の加工指示と、検品用語に関しては、結構混乱していると感じます。

 

政府の経産省などの標準化推進は、やっぱり、Made in Japan やMade by Japan のバックグランドの影響か、必ずしも海外生産時に便利ではないので。

又、意思疎通を図る場合、言語よりも便利なのが、イラストです。

縫製仕様に関する言語は、日本語だけではなく、中国語、英語にても一杯あります。

又、その関係は必ずしも一対一ではありません

海外の有る工場で理解されている英語が、必ずしも他の工場で、同一のことと理解されるとは限りません。

その場合便利なのが、イラストです。

 

JIS発行の書籍の中には、標準化されたイラストが掲載されているみたいですが、、、、

その本は、1万円越えの書籍で、又インターネット上では、電子データー化されていません。

 

日中英の業界用語の標準化とイラストデーターの、無料公開

政府・JISに、業界団体として働きかけ、業界内で日々発生しているコミュニケーションに起因するロスの低減に繋がればよいのではと感じます。

 

勿論、大手や、CADソフトメーカーでは、それぞれその社内でその標準化はなされていると思いますが、業界全体の標準化がもたらす効果は、非常に大きいのではないかと。

 

これは、私見ですが、業界内での技術レベルの低下の一因に、余りにも混乱している業界用語も関係している様な気もします。

産地やメーカーごとの言葉が多過ぎて、新しくこの業界に入ってくる方や、現在作業されている方々に障壁となり、技術的に踏み込んでいくことを躊躇させているのではないかと。

 

次回は、検品用語に関して、感じたことを書いてみたいと思います。

 

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