品質と数値の関係 目付編

品質と数値の関係  目付編

品質管理を行う上で、数値と言うのは非常に重要な根幹です。
企画された製品の規格に対して、本生産商品がバラツキなく、工業製品として規定範囲内に収める為に、大変重要です。

長さ、重さ、強度、含有率、時間など、規定された方法で計測されるもの。
堅牢度の様に、等級判定されるもの。
検品によるA品合格率や、欠点項目別の発生頻度。

問題商品が、市場に出るのを食い止める為にも、原因究明・改善策の考案にも、数値が一番基礎となるものです

当然、全ての商品が、規定値に揃っていることが、工業製品として品質精度が高いということになります。
その延長で、数字の許容範囲を狭めることが品質向上であるという、単純化された考えがなされている場合が、多々あります。

例えば良くあるのが
許容範囲設定が、+-2cm よりも、+-1.5cm の方が、高品質である。
基準値目付が、200g/㎡に対して、190g/㎡ は5%軽いから不可である。

で今回、この”目付”に関しての話

生地の目付は、品質上、コスト上、非常に大事な数値です。
品質上で、軽かったり、重かったりする場合、縮率が不安定であることと、深く関係してきます。

で、!!!
ここで問題が、2点有ります

① 同じ生機で染色しても、色により目付は変わる
例えば白と黒
白 : 漂白工程が入り、痩せる
クロ : 漂白工程が無く、理論上染色投入の生地重量に対して8%程度の染料が固着される
なので、同一生機でも、カラーによって10%程度の目付が、発生する。
白 190g/㎡  黒 210g/㎡ は、起こって当然。
実際は、染色時間や、その他もろもろの条件が加わりますが、取りあえず、色目によって目付がブレルことは合理的な理由が有ることを、理解してから、目付云々の話しをしないと、意味が無い話になります。

② 生地の水分含有量によって、簡単に10%程度計測目付がぶれます。
検査機関では、室温、湿度が一定条件に保つようにされていますが、会社の事務所や、工場の現場ではそうもいきません。
以前、染色工場の事務所でやった実験
通常の計測  : 220g/㎡
電子レンジに入れてチン、水分飛ばして計測 (絶対乾燥ではないですが) : 190g/㎡
一晩、冬場の中国の寒く乾燥した事務所に置いておき、翌朝計測  : 215g/㎡
これぐらい差が出ました。
想っている以上に、差が有ることに驚かれましたか?
目付で、肉感云々言う話が、良く出ますが、計測した時の状況も大事であると、御理解下さい。
同色のサンプル反とバルク反を、同時に計測して比較論は成り立ちますが。

上記2点を理解したうえで、目付について話さないと、勘違いした話になります。
以前、規格330g/㎡の生地で、入荷時計測で315g/㎡ で、”5%軽いので、修理!” という話が出たことが有るのですが、早急な判断や、間違った認識で、返ってロスを起こしますので、慎重に。

染色後の整理仕上げ時点で、幅の出し過ぎや、送り込み不足などで、目付が軽く上がり、収縮率が悪い場合も有りますので、目付のチェックは必要ですが、それ単体で判断するのは、ヤバいです。

後、目付のデーターだけで、生地のボリューム感を判断するのも、ヤバいです。
2つの生地の目付が同じでも、10枚重ねると、高さが20%違うなんて、ザラにありますから。

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